Count 19

1日目、夜
ロッジ
視点、修馬

遥輝「そう、勝利したのは人狼チーム!
そして僕も人狼。勝者なのさ」

修馬「ええ?」

文明「なん……だと?」

拓将「はあ!?お前、人狼に殺されたから村人だろうが!マジシャンだからってカード入れ替えるなんてずりいぞ!」

遥輝「ふふふ、勝者こそ正義さ」

拓将「ちくしょー!やってらんねえ!」

カードを机にばらまく拓将。

舞鈴「男子さー!食事の片付けもしないで人狼ゲーム?いい気なもんね」

文明「すまない。では明日は男子側で夕食を作ろう」

舞鈴「は?男のみでって私達への罰ゲームなの?誰か1人でも料理出来るの?」

修馬「……いいえ」

舞鈴「こういうのは吹雪に作らせれば確実なんだから。吹雪の料理おいしかったでしょ?」

修馬「ああ、うまかったな」

吹雪「……あ、ありがと」

舞鈴「食器さえ割らなかったら完璧だったのに、このドジっ娘」

脇腹を肘でぐりぐりされる幼馴染が見える。

吹雪「ご、ごめんなさいってば」

舞鈴「まあでもみんなさすがに手伝いくらいは出来るでしょ。明日はみんなで手伝って作りましょうよ」

修馬「そうだな。そうしよう」

文明「では、そろそろ寝ようか。みんな今日は楽しんだろう」

樹菜「うん」

心十郎「……」

舞鈴「それぞれのコテージに帰って寝てね」

拓将「はーい!」

修馬「じゃあみんなまた明日な」

文明「寝坊しないようにな修馬」

修馬「へいへい」

吹雪「ね、ねえ舞鈴」

舞鈴「しっ、焦らないの。大丈夫、上手くいってるから」

吹雪「う、うん」

修馬「……?」

何を話そうとしたんだろうか?

1日目、夜
舞鈴のコテージ
視点、舞鈴

とりあえず1日目はこんなものか……
あと4日が勝負だね。

ベッドに腰掛け、天井を見上げ考える。

この旅行は、ある計画によって生まれたものだ。

それは修馬と吹雪のカップル化。

お節介な自分は、あの2人のもどかしい関係を早く何とかしてやりたかったからだ。

誰かも言っていたが修学旅行などのイベントは恋を促進しやすい。
そのために資産家の父親からわざわざ別荘をかしてもらった。
奥手な修馬に鈍感な吹雪。
いいカップルになるに決まってる。

全く!中学生じゃないんだから、お互いはっきりしろって話よね。

……作戦はこうだ。
最終日の5日目は修馬の誕生日だから、パーティーをしたあとに、2人きりの時間を設ける。
そこで吹雪から個人プレゼントを渡させ、そのまま告白。

状況は私が何とか作れる。
あとは吹雪がちゃんと告白出来るかだけが懸念だった。

今、そんな不安を抱く吹雪と電話している。
携帯の電波は届かない島なので、コテージ同士の内線電話を使ってだ。

舞鈴「大丈夫!うまくいってるから吹雪は気にしすぎなのよ」

吹雪「う、うん。ちゃんと告白出来るかな」

舞鈴「あんたら何歳からの付き合いなのよ!これ以上よくはならないってば!向こうも満更じゃないだろうから自信持ちなさいよ」

吹雪「う、うん」

いくらなんでもちょっとお節介過ぎるかな?
この分じゃ付き合ってからも面倒見ないとダメかもね。

ブーブー!

ふいにコテージのブザーが鳴った。

舞鈴「あら、誰か来たみたい」

吹雪「え?こんな時間に?」

舞鈴「うん、切るね。おやすみ」

吹雪「おやすみなさい」

こんな遅くに誰だろうか?
コテージに不具合でもあったのか?

ドアを開いた。

舞鈴「はーい、誰?」

???「……」

ドアを開けた先の人物は、いつもに比べ少し様子がおかしかった。

舞鈴「あら、どうしたの?」

舞鈴視点 完