1日目、夜
ロッジ
視点、修馬
遥輝「そう、勝利したのは人狼チーム!
そして僕も人狼。勝者なのさ」
修馬「ええ?」
文明「なん……だと?」
拓将「はあ!?お前、人狼に殺されたから村人だろうが!マジシャンだからってカード入れ替えるなんてずりいぞ!」
遥輝「ふふふ、勝者こそ正義さ」
拓将「ちくしょー!やってらんねえ!」
カードを机にばらまく拓将。
舞鈴「男子さー!食事の片付けもしないで人狼ゲーム?いい気なもんね」
文明「すまない。では明日は男子側で夕食を作ろう」
舞鈴「は?男のみでって私達への罰ゲームなの?誰か1人でも料理出来るの?」
修馬「……いいえ」
舞鈴「こういうのは吹雪に作らせれば確実なんだから。吹雪の料理おいしかったでしょ?」
修馬「ああ、うまかったな」
吹雪「……あ、ありがと」
舞鈴「食器さえ割らなかったら完璧だったのに、このドジっ娘」
脇腹を肘でぐりぐりされる幼馴染が見える。
吹雪「ご、ごめんなさいってば」
舞鈴「まあでもみんなさすがに手伝いくらいは出来るでしょ。明日はみんなで手伝って作りましょうよ」
修馬「そうだな。そうしよう」
文明「では、そろそろ寝ようか。みんな今日は楽しんだろう」
樹菜「うん」
心十郎「……」
舞鈴「それぞれのコテージに帰って寝てね」
拓将「はーい!」
修馬「じゃあみんなまた明日な」
文明「寝坊しないようにな修馬」
修馬「へいへい」
吹雪「ね、ねえ舞鈴」
舞鈴「しっ、焦らないの。大丈夫、上手くいってるから」
吹雪「う、うん」
修馬「……?」
何を話そうとしたんだろうか?
1日目、夜
舞鈴のコテージ
視点、舞鈴
とりあえず1日目はこんなものか……
あと4日が勝負だね。
ベッドに腰掛け、天井を見上げ考える。
この旅行は、ある計画によって生まれたものだ。
それは修馬と吹雪のカップル化。
お節介な自分は、あの2人のもどかしい関係を早く何とかしてやりたかったからだ。
誰かも言っていたが修学旅行などのイベントは恋を促進しやすい。
そのために資産家の父親からわざわざ別荘をかしてもらった。
奥手な修馬に鈍感な吹雪。
いいカップルになるに決まってる。
全く!中学生じゃないんだから、お互いはっきりしろって話よね。
……作戦はこうだ。
最終日の5日目は修馬の誕生日だから、パーティーをしたあとに、2人きりの時間を設ける。
そこで吹雪から個人プレゼントを渡させ、そのまま告白。
状況は私が何とか作れる。
あとは吹雪がちゃんと告白出来るかだけが懸念だった。
今、そんな不安を抱く吹雪と電話している。
携帯の電波は届かない島なので、コテージ同士の内線電話を使ってだ。
舞鈴「大丈夫!うまくいってるから吹雪は気にしすぎなのよ」
吹雪「う、うん。ちゃんと告白出来るかな」
舞鈴「あんたら何歳からの付き合いなのよ!これ以上よくはならないってば!向こうも満更じゃないだろうから自信持ちなさいよ」
吹雪「う、うん」
いくらなんでもちょっとお節介過ぎるかな?
この分じゃ付き合ってからも面倒見ないとダメかもね。
ブーブー!
ふいにコテージのブザーが鳴った。
舞鈴「あら、誰か来たみたい」
吹雪「え?こんな時間に?」
舞鈴「うん、切るね。おやすみ」
吹雪「おやすみなさい」
こんな遅くに誰だろうか?
コテージに不具合でもあったのか?
ドアを開いた。
舞鈴「はーい、誰?」
???「……」
ドアを開けた先の人物は、いつもに比べ少し様子がおかしかった。
舞鈴「あら、どうしたの?」
舞鈴視点 完